ブレカナ回路全開

新年の初ゲーはブレカナの予定!グラディウシア騎士のPC1枠にオークで挑もうという野心的なゲーム初めであります。とりあえず前に練ってた奴を少々弄ってこれを仮決定とする方向で。


“インクイジター・フロム・ダーク”マリウス    17歳 男 ハイオーク(ハーフ)

教皇領の聖騎士達が見つけた時には、その聖剣はオークの手に抱かれていた。オークがその場で殺されなかった理由は3つ。オークが年端もいかぬ幼子であった事、その顔に人の血が混じっていると思わしき面影があった事、そして聖剣の神聖なる光がオークの少年を拒否することなく包んでいた――すなわち所有者として認められていた――事である。聖騎士達はとりあえずオークの子を聖剣と共に保護して本国へと帰還した。教会にて聖剣が本物であることが確認されると、オークの子をどうするかが問題となった。大っぴらに育てるのは憚られるが、かといって聖剣に認められたアーの僕を進んで殺そうとする者もいなかった。相談と論議の末に、教会と縁の深い貴族の家に愚者(厄除け)として引き取られる事になった。

その家でオークの少年は少女ミランダと出会い、名を与えられた。同年の幼い二人は純粋なる心で密やかに友情を結んだ。少女は他の大人のように少年を差別しないただ一人の理解者であった。やがて少女は修道院へと入り二人は別れたが、少女は11歳の頃に愚者の少年を自分の下へと呼んだ。教皇アンゲリア7世の世話役の一人として。真なる意味での味方が少ない少女教皇にとって、気心の知れた少年は数少ない心を許せる者の一人であった。二人は互いの悩みを打ち明け、励ましあいながら時を過ごした。

そんな日々はある一人の男の来訪によって終わりを告げる。ハイデルランドの王位継承者を名乗るその男の目を見た時、少年は初めて心の底から恐怖を覚え、その男が自分の主人と会うことを考えると気も狂わんばかりに取り乱した。男が帰った後に少年は猛然たる必死さで少女に進言した。
「アンゲリア様!あの男とはもう会ってはなりませんだ!あの男の目は恐ろしい悪魔の目ですだ!あんなのと一緒にいたら魂を地獄へ引きずりこまれちまいますだ!どうかお願いですだアンゲリア様!」
少女はこれまで見たことも無いような冷たい眼差しで少年を一瞥し、何かを言った。何を言ったかは覚えていない。その内容は少年にはあまりにも衝撃的だったから。そしてその会話が二人の永き別れとなった。その日の内に少年は大聖堂から追い出された。

全てを失い、失意のまま野垂れ死ぬ寸前だった少年にある日、男が声をかけた。サイモンと名乗るその男を少年は知っていた。教会の偉い人だが、やはり暗い眼をしているその男を少年は決して好きにはなれなかったが、男が教皇からの密命を伝えに来たと知ると藁にも縋るとばかりに従った。神と教皇を疑わず、その敵を尽く撃ち滅ぼす事が己の罪を償う唯一の方法だと無心で信じ込んだ。
「殺しますだ!オラぁアンゲリア様の為なら幾らでも殺しますだ!貴族だろうが悪魔だろうが沢山殺しますだ!そしたらいつかきっとアンゲリア様は昔みたいにオラを褒めて下さるだ!」
その日から教皇領の貴族がオークの兜を被った暗殺者に殺される事件が相次いだ。いずれも教皇の敵対者であったのは果たして偶然かどうかを確かめる術を持つ者はいなかった。


アルカナ:フルキフェル(オーク)=戦闘系(アクアORディアボルスが濃厚)=マーテル
特殊因果律:古代の聖剣(センチュリオ)
シナリオ因縁:ダイアナ枢機卿
外見:黒い肌、尖った耳、真紅の瞳、ずんぐりとした鼻、大きな牙などの特徴を兜とフードで常に隠している。常人離れした大柄な体躯に反して、普段の姿勢や物腰は卑屈なほど小さい。
若さとは裏腹にグラディウシア騎士の中でも困難で汚い仕事に多く携わってきた男。しかし一見愚鈍そうな所と、致命的な生まれにさえ目を瞑ることができるのなら、その性格はそこいらの僧よりもよほど善良かつ敬虔な真教徒と呼べるだろう。もっとも後者ばかりは多くの人間にとって無理な相談ではあるが。ダイアナ枢機卿とはグラディウシア騎士となる前に何度か面識があり、以前の教皇の口からも深い信頼の評価を聞いているので、これまでの彼女の指令には微塵の疑いも抱く事はなかった。