世界樹日記 最終回

・1日目
俺の名はゅぅぃ(レンジャー)。本日俺は世界樹の迷宮にやってきた。色々シビアな噂は聞いていたが、こう見えてもサバイバルには自信がある。一発クリアしたゲームブックもそこそこあるし、TRPGでも死んだ経験はサタスペ1度だけだ。そこで俺は自らに「人生は一度きり!全滅したら即おしまいよ!攻略も見ちゃだめよ!」縛りを課して、生きている間の出来事を日記に綴る事にした。町に来た足で早速冒険者ギルドでチーム「ひとくいぶた」の登録を済まし、来るべき聖杯戦争に備え異世界の英霊達を召喚した。ニューロエイジからメロス(パラディン)とヘルシー(メディック)、ハイデルランドからレディアニク(パラディン)とエリニッカ(バード)などの英霊達をキャラシーから呼び出すと予算で装備とスキルを整え、即潜ってみた。最初のミッションは地図作成。地味だ。ダンジョンのマスを踏破しながら雑魚と戦いLVが上がった所で余裕を持って引き上げた。掴みの印象は上々だ。

・2日目
念を入れて後ろのめりな編成を組んだのが良かったのか悪かったのかは判らないが、攻略は順調だ。マッピング指定エリアの半分くらいを埋め、LVも3に上がり、本日も余裕を持って町へと帰還した。たまに現れる蟹がかなり硬くて手が付けられないので逃げたが、それ以外は問題ない。攻撃魔法の需要を感じないでもなかったが、とりあえず逃げられるのなら当面問題ないと判断し、ミッション終了まで保留することにする。

・3日目
マッピングもほぼ終わった。現在最後の部屋で休憩をとってみる。トラップの可能性も考えたが、ここまでかなり余裕が残っているので、あえてここで休んでみることにした。


現場検証の為にわざわざニューロエイジから召喚されたBH機動捜査課課長の千早冴子は、血まみれの日記と紫色に変色した被害者の遺体を見ながら、彼らの全滅した理由を3つ挙げた。一つ目は彼らのこれまでの探索がかなり順調に進んでいた事。二つ目は彼らが現場にたどり着いた時点でほとんど損害が無かった事。三つ目は探索者が持っていたのがゲームブックでなくDSであった事である。これらの要因が重なってガードが緩んだ瞬間に、この階層で最大の修羅場を迎えたのだろうと推測された。最もこれらの要因がなかったとしても攻略情報抜きで進んでいたら、いずれは同じ結末を迎えた可能性は低くなかっただろう。まさか毒が1ターンで後衛の最大HPを丸々を持っていく程の威力などとは予想できなかっただろうから。